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「なんてこった…」
彼女の父がそう呟いた。
彼女の母は泣きそうな目つきで彼を見ていた。
「あの…俺、未だによく分からないのですが…」
俺は言葉を詰まらせつつもそう問う。
彼らは交代しながら俺に説明を始めた。
「覚せい剤取締り法」。
名前くらいは知っていた。
彼女は覚せい剤を所持していたらしい。
…といっても俺はまだ信じられてはいなかった。
俺と彼女は同い年、それもまだ18なのだ…。
高校も卒業したばかり。
そんな彼女が…覚せい剤取締り法違反?
そんな馬鹿な。
何かの冗談だろ?
くだらない悪夢は見飽きてるぜ、全く…。
しかし、いくら現実を拒絶しても、今辺りを包み込んでいるいやな空気のリアルでシリアスな質感が俺をもと居た場所へ連れ戻してしまうのだった。
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