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「お前って、ラブコメの主人公みたいだよな」
「は?」
唐突すぎる。十数年の付き合いがあるが、いまだにこういうとこについていけない。
場所は某赤い道化師のいるハンバーガーショップ。時は平成、夏も近づく八十八夜。
オレ、遠夜夏流は親友の月詠之人から意味不明な発言をされていた。
「スマン、なんだって?」
「だから、ラブコメの主人公みたいだよな?」
「誰が?」
「お前が」
ピシャリと言い切り、之人はシェイクをすすった。
え? それだけ?
「いや、意味が解んないんだけど……」
「なんだ? 相変わらず理解力がないな。だからラブコメだよ、ラブコメ」
別にオレの理解力がない訳でも、ラブコメを知らない訳でもない。ただ、なぜオレがラブコメの主人公扱いされなくてはならないのか、それが解らないのだ。
「つまり、アニメやマンガやPCゲームその他諸々に溢れ返るジャンルの一つのラブコメディと言われるジャンルがあってだな……」
「いやいや、だから別にラブコメが解らない訳じゃなくて、なんでオレがラブコメの主人公なんだ?」
オレのこの発言に、そんなことも解らないのかとでもいうように之人が鼻を鳴らす。あ……ムカつく、オレ、コイツのこういうとこ嫌い。
「いいか、整っているが目立たない顔立ち。良くもないが悪くもない、当たり障りのないセンス。優しいが、鈍感で優柔不断。頭は悪くないが、成績も運動神経もごく一般的。まさにラブコメの主人公になるべくして産まれてきたような男だ」
これは褒められてるのか? それとも貶されてるのか?
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