暗雲の空

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  哨戒が始まり二時間ほど経った。  未だ敵影見えず、そろそろ帰投の時間が迫っていた。     「哨戒ルートをもう一度通り、そこで敵がいなければ帰投する」   「わかった」   「了解しました」     機体を緩く左旋回する。   哨戒コースを一周し終わり、帰投しようとしたその時…    「前方二時の方向、距離四千、高度六千!!」 三番機 杉山一飛曹からだった。    「何!」 言われた方向を見ると、暗闇の中に怪しく映る発動機からの火花が見えた。       
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