暗雲の空

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  地面が迫る。   体勢が整い、機体を地面に滑らす。    「うおぉぉお」   激しい振動で機体が上下する。  地面を金属が擦れる音が響く。    「止まれぇー!!」   願いが通じたのか、機体の速度が落ちる。  そして機体の至るところに傷を作り、止まった。    「た、助かった」   安心したのも束の間、すぐさま機体から離れて近くの雑木林に身を隠す。      すると、上空からF6Fが舞ってきた。  今まで乗っていた零戦に向かって機銃を撃ち込む。     瞬く間に機体は穴だらけになり、そこから漏れた燃料に引火し、炎上した。    撃破を確認したのか、F6Fの編隊は漆黒の空に消えていった。       
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