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俺は炎上する零戦を見つめていた。
「スマン…林、杉山…許してくれ……」
頬には一筋の涙が流れており、それを止めることはできなかった。
俺は嗚咽を吐きながら、その場にへたり込んでいた。
その後、近くの軍令部まで歩き、訳を話して倉敷まで送ってもらった。
倉敷基地に着くと尾崎大尉や和輝、その他大勢の搭乗員たちが駆け寄って来た。
「大丈夫だったのか?
通信が途絶えたから心配したんだぞ」
尾崎大尉が声をかけてきた。
「スミマセン…」
俺は力なく言った。
「何があった?
林と杉山はどうした?」
「………」
「よし、では後で私の部屋に来なさい。
西村司令には俺から報告しておこう」
俺の心境を察してくれたのだろうか。
この場では聞いてこなかった。
「今は休みなさい。
ご苦労であった。」
この心遣いに俺は感激した。
俺はただ感謝の気持ちしかなかった。
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