死別の空

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  なんと火を吹いていたのは自分ではなく、尾崎大尉の紫電改であった。         俺は自分の目を疑いつつ、急いで尾崎大尉の機へ駆ける。      状況的にみれば、恐らく尾崎大尉は俺の身代わりになって、機銃弾を受けたのだろう。      「尾崎大尉!」     俺は涙声になっていた。     「俺は大丈夫だ。      空戦に戻れ」   「しかし…」   俺にはそんなこと出来るはずがない。        「いいか、俺がお前を助けたのは、お前の将来に期待しているからだ。    きっとお前は俺以上の搭乗員になれる。    それにお前はまだ若い、死ぬのには早過ぎる」     「う……ぅぅ」   涙が止まらない。      「これは俺が勝手にしたことだ。  だからお前が悔いることはない。    頼んだぞ……香月」         そう言い終わると紫電改の高度が更に下がった。      「尾崎大尉!」   落下する紫電改の風防越しに尾崎大尉の顔が見える。      「……笑ってる…?」     俺には微笑んでいる尾崎大尉の顔が見えた。        そして、次の瞬間……        紫電改は爆散した………。    
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