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【especially】
眼鏡をかけてみたんだ。
独立をしたと言うのに、いつまでたっても彼が子供扱いをするから。
アーサー、俺はもう君の弟じゃないよ。
「お前、それどうした…」
「眼鏡だよ、それも分からなくなったのかい?」
「違ぇよ、バカ!目が悪くなったのか、って聞いたんだよ!」
言葉は乱暴だけど、どうやら心配をしてくれているようだ。
「伊達眼鏡だよ、クールだろ?」
「…スゲー違和感。何で急に掛け始めたんだよ」
「それは…」
君に子供扱いして欲しくないからで、果ては君と対等になりたい、君の特別になりたい、そんな希望もあったけれど。
君は鈍感だから、言わなきゃ俺の気持ちには気づかない。
一生、ね。
「それは、国家機密だよ!」
「なっ…テメェ!真面目に答えろ!」
「やだ」
「ちくしょう…たいした理由でもねぇくせに勿体ぶるなよ」
怒りっぽくて口が悪くて鈍感で料理が不味い、どうして彼を好きになったんだろう?
「おい、アル!」
「煩いなぁ…」
肩を掴んできた手を掴み返して引き寄せる、ほら、キスなんて簡単だ。
君より背も体も大きいんだぞ!
「…っ!?」
これは宣戦布告だよ。
君の特別は俺なんだって、鈍感な君に気付かせてあげる。
【End】
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