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豪華絢爛その一言に尽きる。金色の輝きを誇るシャンデリアに、光沢を放つ騎士の鎧、何処かの偉人を描いたであろう美しき絵画の数々には、目を奪われる。
長いテーブルには、不必要な程の明るく照らす燭台が等間隔で並んでいる。テーブルには着飾った多くの人が、向かい合って座っており、全員の視線は一番奥の人物に集まっている。視線が集まっている黒髪の優しそうな男性は、にこやかに微笑んでいる。
「今日皆様に集まって頂いたのは、私の息子レノンと娘ティアが、明日より魔法学園に入学する事になったのでそのご報告です。まぁ今夜は大いに楽しんで下さい。では……今日の幸せに乾杯!」
男性は立ち上がり、自分の左右に居る銀髪の少年と黒髪の少女を紹介し、杯を掲げた。
「乾杯!!」
周りの着飾った人達も楽しそうに杯を掲げる。それと同時に、黒いスーツの執事達が一斉に現れ、料理を人々の前に置いて行く。暖かいスープに、柔らかそうなステーキ、鮮やかなフルーツはどれも食欲をそそる。
「父さん……俺、部屋に戻ります。お休みなさい」
銀色の髪に切れ目の少年は、料理に手を付けずに、席を立つ。香ばしい香りの料理を置き去りに、少年は自室に向かって歩く。その姿を父親は寂しそうに眺める。
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