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銀髪の少年を追い掛ける一人の少女。肩までの赤い髪で前髪を一束顔の前に垂らしている。着ている黒いドレスには太股までのスリット、そこから覗く白い足は、細く美しい。豊かな胸に、細く長い手足。少々表情はきついが間違いなく美人の女性。
「まだパーティーは始まったばかりよ。何処に行くつもり?」
苛々した口調で少年に話し掛ける少女。手を少年の肩に掛け、無理矢理振り向かせる。
「自室に戻るだけ、見ず知らずの貴女に口出しされることではない」
銀髪の少年の口から発せられたはっきりとした拒絶の言葉とその威圧感に少女は戸惑った。
「君、感じ悪いね。貴族らしいって言ったらそれまでだけどね」
「貴女も貴族だろ?それに貴女の感じも俺にとっては…良くない。それでは失礼します」
頭を下げ、その場を後にする銀髪の少年レノン。その場には、呆然として立ち尽くす赤い髪の少女が残された。
「面白い男、絶対私の虜にしてあげる」
少女は一人呟き、自分の席に戻り、食事を続けた。この時彼女の頭には、レノンが困るであろう一つの考えが有った。それを実行に移す為、彼女は動き出す。
夜はまだ長く、主役を一人欠いたパーティーは続く。
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