act.01 Shake Down

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 7月10日 榛名山   オレはいつもの峠で、セットアップが完了したばかりのエボを専属メカニックの指示通りシェイクダウンしていた。   メカニックから無線が入る、「無理だけはするなよ」   「あぁわかってるって」そう答えてオレはさらにペースを上げた。   ファァァ~ン!! 突然背後からかなりのスピードで赤いクルマがオレに迫ってきた。      「フェラーリ?しかもエンツォか」車名エンツォフェラーリ、フェラーリシリーズの中でも最速を誇るスーパーマシンだ。到底エボで勝てる相手では無い。でも今夜は根拠のない自信がこみ上げ、シェイクダウン中であることを忘れてオレの右足がエボにムチを打ちレッドゾーンまで吹けあがった。その時だった、エボのエンジンフードから異常なほどの煙が吹き上げてきたのだ。   「チクショー!タービンブローか!」スローダウンするなか、エンツォがあざ笑うかのようにオレを抜き去っていった。   そのあと、メカニックに大目玉を食らったのは言うまでも無い。
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