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「行ってらっしゃい。」
智子は言う。
この言葉だけは毎朝欠かさずに言うようにしていた。
自分にとっても、悠哉にとっても、この一言が言える存在がいると何故か安心する。
智子は悠哉に寂しさを感じさせたくなかった。
姉としていや、母親の代わりとして。
そんな些細な事だが、無くてはならない言葉だ。
言い返せば些細な事ほど重要な事は無い。
しかし、人間はその些細な事からすぐに目をそらして、その些細な事を簡単に捨ててしまう。
人間は変わっている。
でもだからと言って、その些細な事に目を向けたところで、些細な事の大事さなんて見えて来ない。
勿論、人の考え方が違うからと言うのも有る。
どちらにしろ、この些細な事が幸せだと感じている事に違い無かった。
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