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「悠哉おはよう。」
西村理恵(17)は言う。
渡辺悠哉の幼なじみで、幼稚園の頃からの付き合いが今も続いている。
俗に言うくされ縁と言うやつである。
女子バスケット部のキャプテンをやっていて、運動神経は抜群。
悠哉の好きな三人の内の一人である。
「先行くね!今日朝練だから。」
西村理恵はそう言って走り去る。
消えていく後ろ姿に手を振りながら、渡辺悠哉はまた歩き出した。
見慣れた風景を眺めながらまたいつも通り、学校にたどり着く。
「悠哉君、おはよう」
隣に座っている千春が言う。
桐本千春(17)は、図書委員をしている。
友達を作るのが苦手な千春は、そんな自分に声をかけてくれた悠哉に憧れを感じていた。
「悠哉君…ちょっと 良いかな?」
千春は囁くように言う。
照れた顔が悠哉にはやけに可愛く見えた。
千春は悠哉に思いを告げた。
悠哉にとっては好きな人の一人から告白された訳だから嬉しく無いはずがなかった。
当然のごとくokを出す。
だがこの時、渡辺悠哉は気付かなかった。
この幸せが長くは続かない事を……。
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