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その時の渡辺悠哉は浮かれていた。
まさに天にものぼる気持ちとはこの事だろう。
今までに恋愛経験など全く無く、暇な休日を何度も過ごしてきた悠哉にとって、生涯初めての彼女と言う存在は苦しみを無に変える程の大きな幸せだった。
まさに昨日の悩みが嘘のような喜びである。
「幸せってこういう事を言うんだな(;_;)」
………
「ヘブッ……。Σ)゜Д)」
悠哉の顔面にバスケットボールがぶつかった。
「何浮かれた顔してんのよ」
理恵は少し苛立ち気味に言う。
「いてぇな(T_T)」
「……………。」
「理恵……?」
「あんたの事が好き。」
理恵は囁くように言った。
(いや……でも俺には千春がいるし……)
そう思いながらも悠哉は昔を思いだしていた。
(あの時……まだ幼稚園だった俺は一度理恵に告白した事があった。
あの時理恵が笑顔で言った「ありがとう」を今でも覚えてる。
思えばあん時は今より髪長かったよなあ)
思い出がアルバムを開いたように頭の中を覆い尽くす。
あの後結局返事聞けずに幼いながらに真剣に悩んだ自分がいる。
あの頃が懐かしい。
「昔、悠哉私に告白してくれた事あったよね…?
あの時すごく嬉しかった。
でもね…あの時の好きは今の好きとは違うの。」
「理恵……。」
胸が高鳴る。
「ずっと言おうと思ってた。
でも今まで言えなかった。」
「わ……分かった。
」
悠哉はOKを出してしまった。
今、目の前の幼なじみを改めて好きになってしまった。
悠哉は理恵が行った後に気づいた。
「二股……(゜゜)」
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