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「…私は風斗様に甘いのでしょうか」
小さくため息。
ベッドから出ると身なりを整えて鏡の前に立つ。
そして引き出しから一冊の本を取り出した。
これは知り合いから貰った小説。
内容は、ご主人と執事のよくあるようなBL物語。
BLなんて…と思ったけれど…
でも、すごく憧れた。
表紙の2人を脳内で無意識のうちに私と風斗様に置き換えていた。
そう、私は、ご主人様に恋をしている…。
「いつからでしょうか…。風斗様に愛されたいと願ってしまったのは」
ぱらぱらとめくる。
何回読み返しただろう。
もう、お話は覚えてしまった。
セリフを一字一句間違えることもない。
この執事のように、私も風斗様を抱いて想いを伝えたい。
私をずっと求めるようにしたい。
…でも勇気がない。
こんな失敗ばかりで抜けている執事を、風斗様が好きになるはずがない。
現に、ここずっと風斗様は私に冷たい。
もしかしていつかは解雇なんて言われたりして。
自分で考えておいて、ぞっとする。
「…掃除しますか」
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