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柔らかな陽射しが木々の合間からこぼれてくる。
小鳥達のさえずりがこだまして聞こえてくる。
そんな穏やか過ぎる山には似つかわしくない、獣の唸り声がレイモンド達を取り囲んでいた。
「いや~。思ってたよりもたくさんいるみたいだね」
そんなのんきな事を言っているのは、わざと獣道に印を付けて歩いていた、茶髪茶眼のロッシ・イーグリットだった。
しかし、そんな彼も敵を前にして隙は作らず、いつ戦闘が始まってもいいように武器を構える事を忘れない。
「この時期は繁殖期だからな。俺達が来るまでの間に増えたんだろう」
「やつら、繁殖能力だけは一人前だもんな」
ロッシはレイモンドの言葉に乾いた笑みを浮かべ、愚痴を漏らした。
「しっかし。Cランクエト・アリ、ビースト系のファングウルフ三十体を討伐……だったはずたよな?」
「確実に五十体はいらっしゃいますね」
三人は背中合わせになり、四方から襲って来るであろう、ファングウルフに武器を向けた。
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