ある魔法使いのお話 ~第一章~

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「う…うぅ……。」 砂浜に一人の男が横たわっていた。 歳はおそらく20代半ば頃だろうか。 無精ひげがちらほらと生えているが、銀色の少し長めの髪が日光に照らされて綺麗に輝いている。 上半身は砂浜に打ち上げられているが、下半身は海に浸かったまま。 纏っている長いローブが、波にゆらゆらと揺れている。 男は全身びしょ濡れだった。 表情を歪めながら、時折苦しそうに呻く。 そこへ少女が一人やって来た。 海岸に咲く小さなピンク色の花を摘んでは眺め、嬉しそうに歩いている。 「…あれ?」 少女の目が、倒れている男を見つけた。 「…!大丈夫ですか!?」 少女はそれが人だとわかると、急いで駆け寄り、肩を叩きながら何度も声をかけた。  
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