ある魔法使いのお話 ~第一章~

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シェリナがこの村の村長の娘であること。 生まれてから17年間、この村の敷地外へ行ったことがないこと。 誰からも好かれていること。 道で誰かとすれ違えば、みんな笑顔でシェリナに挨拶をする。 そして何より、誰よりも優しい心の持ち主であること。 「僕は北の果てで生まれました。ノーザス、という国を知っていますか?」 「うん、名前だけなら。」 「その国の一番北の村、マジアスという村で生まれ育ったんですよ。」 「マジアス…。」 シェリナは唇にそっと指を沿えて考えてから、困ったような顔で「うーん、知らないなぁ…。」と答えた。  
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