ある魔法使いのお話 ~第一章~

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「とても小さな村ですから。知らなくても無理はないですよ。」 カルルスは穏やかに微笑むと、「あそこで少し休みましょう」と、少し先にある岬を指差した。 「うっわー、たっかーいっ!」 岬の先から身を乗り出して、下を覗き込みながらシェリナは楽しそうにはしゃいだ。 「海にはよく遊びに来てたけど、この岬まで来たのは初めてだわ!風が強くて気持ちいいーっ! ねぇねぇ、カルルスも見てみてよ!眺めがすごくいいのよ!」 「あまり乗り出すと危ないですよ。 下は海とはいえ、この高さからじゃ落ちたら助かるかわかりません。」 カルルスがそう言うと、急に恐くなったのかシェリナは大人しく腰を下ろした。 「それにしてもここはいいところですね。 自然がたくさんあって空気もおいしいし、空も綺麗だ。 何より時間がすごく穏やかに流れている。」 カルルスは、ごろりと寝転がるとぼんやりと空を見つめた。  
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