prologue

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『釣った魚に餌はやらないってか…』 この一週間で、一人暮らしの時よりもずっと独り言が多くなった気がする いきなり現れて いきなり【結婚しろ】 と、何の接点も無い勤務先の営業部長に言われてからもうすぐ1ヶ月 広すぎるクローゼットから大量の服に埋もれた自分の少ない荷物だけを出して、鞄に詰めている 『結局…幸せとは縁遠いってことなのかな』 あのアパートが懐かしい アパートでは一度も感じたことの無かった孤独を、今私には広すぎて豪華なマンションで痛いくらいに感じている 結局…関川部長は何を考えているのか… 私にはさっぱり理解出来なくて 私にも原因があるんだろうけど… 奇しくも明日はバレンタインデーで、こっそり渡すつもりでこっそり作っていたガトーショコラを夕食に食べた そう言ったイベントには全く縁遠かった私だったけど、ウキウキしながら作ったんだ 『味はまあ良かったけど、ワンホールは多かったかな…少し気持ち悪い』 胃のむかつきを抑えながら、鞄に荷物を詰めている もう涙は出ない
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