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結局一言も喋らず、お互い重たい空気が流れたまま俺と葵は教室に戻りました。
その日の放課後、俺と葵は職員室に呼び出しをくらい無断欠席をした理由を問いつめらちゃうことに。俺はちょっと考えてから、
「だって……だって……だって……だってだってなんだもん」
って言ったら先生に吹っ飛ばされました。それからはたっぷり絞られまして、職員室から解放された時はもう5時をまわってやがりました。くそ……亜弥さんと一緒に帰るという作戦を企てていましたがふいになってしまいましたね。
もう亜弥さん帰ってるよなぁ……。
俺はそんな事思いながら教室に戻るための階段を登っています。葵は相変わらず口を固く結んでいます。
「なぁ……葵?」
「………」
「あおーあおーメガネの子ー。やたら、人気、出て困る」
「何ですか、それ?」
やっと口を開いてくれましたか。葵は相変わらずそっぽ向いて、俺より早く階段を登っています。
「いや、崖の上の船越って言う替え歌何だけど……」
「私関係ないじゃないですか!? ってうわわわ!?」
元来突っ込み気質である葵は俺のボケに反射的にツッコミを入れようと振り返った拍子に足を滑らせました。
「バカ葵っ!!」
葵は俺の上に飛びかかってくる格好になって、そのまま一気に転落、鉄板でも落としたかのような轟音をあげ俺は頭部、足腰強打です。
「っ……!!」
「祐亜……祐亜!!」
仰向けに倒れ込んだ俺の上に覆いかぶさってる葵は気が動転しているのか、呼吸を感じられるぐらい顔を近づけて俺の名前を呼んでます。
「大丈夫だ……俺、実はPS装甲なんだぜ」
「ばか……!!」
かなりやせ我慢して言った俺のガンダムネタをスルーして、葵は俺の胸に顔を埋めてまた泣き始めました。
「おい、葵。こんな所誰かに見られたら勘違いされ……」
「……と、徳永?」
今、一番聞きたくない声が聞こえてきました。
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