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目の前のクッション性抜群の謎の美女は、鳩がAK-47を喰らったみたいな顔をしてます。
「で、弟子……?」
完全にやっちまいました。
駄目だろ、弟子って……。何やってんだよ、俺!!
修業でもすんのか、この可愛らしい女性の下で!! 天下一武闘会的な? こんな美人さんがそんな暴力的なことする訳ねぇだろ!!
クッション性抜群の謎の美女を含め、周りのお友達もみんなキョトンとしてます。
なんだよ、この空気。
………。
OKOK!!ここはもう前向きに行きましょう!! あなたの性奴隷にしてくださいって言うよりかは数千倍マシじゃないっすか? all right、全く持ってall right。
「徳永さん……何してるんですか? というか背中の葵さんは一体?」
俺をキョトン顔で見つめる女の子集団の中から、どこかで聞いたことのあるような声が耳に入りました。
恐る恐る視線をそちらに向けると、我が友の恋人である、長めのボブショートで愛らしいたれ目が特徴的な樋口恋さんがいと困り顔で居たりな訳です。何故ここに……。
「恋、この男を知っているのか?」
クッション性抜群の美女は横を向いて、樋口さんに尋ねました。
「あっ、はい。祐一さんのお友達の方です。あっ、もしかして今朝葵さんとお話されてた方って亜弥さんのことだったんですか?」
「私がどうしたのだ?」
樋口恋、貴様聞いていたな!!
「えっと……確か今朝凄い美人の女性と会って、その方のことが気になっ……」
「ゼェェェェェェェェェェェッッッッッットゥゥゥゥゥゥ!!!!」
俺は樋口さんの声を遮るため、アニソンの帝王のサビばりの声量で叫びました。
今度は廊下にいた生徒みんなが俺に視線を向けています。あはは……傷口をナイフでぐりぐりやっちゃった感が否めませんね。
──駄目だ、今日は。
倒置法を用いながら思いました。今日のところは一旦身を引いて、後日攻めるしかありますまい。ならばここは潔く去りましょう。
俺は亜弥と呼ばれたその美女をビッと指差して言ってやりました。
「この撤退は次への布石です」
そして俺は葵を背負ったまま、また廊下を駆けていきます。
なんで孔明先生だったんだろ?
我に帰り、そう自分に問い掛けるまでに差ほどの時間は必要とされませんでした。
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