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どうしたら世界は平和になるのかしら……。
世界平和を願う私は、そんな事をしょっちゅう考えていた。
その時も確か、そうやって真剣に考えながら歩いていたと思う。
下を向き、ぶつぶつと呟きつつ歩く私を、すれ違う人たちは訝しげに見て、そして通りすぎていく。
私は気づいていたけれど、基本的にそんなことは気にしない主義だ。
「ん~ダメ。いい案が思い付かないわ……」
その時も、いつものように諦めようとしていた。
しかし、その時は『いつも』とは少しだけ、状況が違った。
これから辿る未来の違いって、きっと、そんな些細なこと。
ゴンッと足元で音がしたのだ。
続いて、鈍痛。
「痛っ……え? なんで? 私、下見てたはずなのに……」
私は何かにつまずいたのだ。
不思議に思いながらそちらを見ると、カランカラン、とそれ独特の音をさせ、瓶が1つ、転がっていた。
それは手のひら程の小さな瓶だったが、普通のものよりも口が広かった。
どちらかというと、あれは小物入れに近かったかもしれない。
通常より広めの口なのだから、当然通常より大きめの蓋がしてあった。
瓶の不思議な光沢のせいで中が見えないためか、瓶の中には別世界が広がっているような外との遮断を感じた。
しかも、ガラス特有の飴のような鈍い光加減はほのかに青く、今までに見たことがないほど美しい色だった。
それがより一層、その瓶の特異さを際立たせて……私は瓶にうっとりと見とれたまま、自分でも無意識の内に瓶の蓋に手をかけていた。
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