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そして、開けた。
瓶からは、見た目にふさわしい青い音色が短く響いた。
すると中から、小さくてかわいらしい羽をもった者が出てきた。
妖精さんかな、と思った。
「はろ~ん。妖精で~す!」
私は、かわいらしいおしとやかな見た目と、このおちゃらけた口調とのギャップに驚きながらも、半反射的に挨拶を返していた。
「久々の外だ~。出してくれてありがと! ……よし! この中じゃ力が使えなかったし、お礼と腕ならしを兼ねてあなたのお願い、なんでも叶えてあげるよ!」
「そ、そうなんですか……え?」
あまりに突然のことに、そんなリアクションしかとれなかった。
お願いを、叶える?
私の?
妖精は、そんな私になお続けた。
「ほんとに何でも叶えちゃうよ?妖精、嘘つかないっ。でもね、条件があるんだな~」
「条件?」
私は信用することにした。
よくひっかけであるような、『願いを聞きましょう』とは違い、この妖精さんはしっかり『叶える』と言ったからだ。
つまりこれは、またとないチャンスだ。
「そうっ! あのね、願い事は、具体的じゃないといけないの」
具体的?
「それは、どんな感じ?」
妖精さんは、うーん、ダメな例はね、と言い、続ける。
「幸せになりたい、とか。何がその人の幸せで、私たちにどうしてほしいのか分からないからね」
「なるほど……」
「私たち妖精が何をすればいいのか分からない願いはダメって思ったら間違いないかな。さぁ、あなたはどんな願い事をする?」
私は、これは意外に難しい条件だな、と思った。
私が願おうとしたのは、世界平和だったからだ。
それは曖昧であると言われてしまえば、そこでお仕舞いである。
「どうしましょ……」
こうなれば、どんなお願いをすれば世界が平和になれるのかを考えるしかない。
そう思った時だ。
私の頭に、素晴らしい案が浮かんできた。
人間頭を捻れば、案の1つや2つ出てくるものだ。
これならきっと、いける。
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