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私の涙はいつの間にか止まっていて、包装紙をはいでいく紀ちゃんの綺麗な手を見つめていた。
「西山にね、幸せになることは、最大の償いだって言われたわ」
紀ちゃんが、私の前にひざを突いて、視線が真っ直ぐあった。
「アタシの幸せは、ただ一つだけ。里奈とずっと一緒に居ることだけ」
紀ちゃんが手にしていた箱には、チョコレートがぎっしり詰まっていた。
チョコレートの真ん中に、紀ちゃんの指輪と同じ指輪が光っている。
あの時、一緒に暮らそうと言って私の手を包んでくれた紀ちゃんの中指にあった指輪。
「アタシと一緒に、幸せになってくれる?」
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