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26年間生きてきて こんなに幸せだと思った誕生日は初めてだった。 「あら、また泣いて!泣き虫ねぇ里奈は」 紀ちゃんが頭をなでてくれた。 カズ君が、頭についた紙吹雪をとってくれている。 アゲハさんが蝋燭に火をともしてくれ、私が勢いよく26本の蝋燭を吹き消すと、ユウキ君がシャンパンを勢いよくあけた。 楽しくて、楽しくて、幸せだった。 一番驚いたのがお店は臨時休業で、私のため貸し切りだったこと。 「歓迎会もこめてね、特別よ」 いたずらっぽく、紀ちゃんが笑った。 「あんま飲み過ぎたら、明日のドライブに差し支えますからね」 宮原さんには、ちゃんと断りの電話を入れよう。 今は、紀ちゃんと過ごす時間がなによりも大切なんだ。 紀ちゃん、私世界一幸せだよ。 そうつぶやいた私に、紀ちゃんも抱きついてわんわん泣いた。 紀ちゃんの香り。 きっと一生忘れない。
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