7

11/13
前へ
/317ページ
次へ
黙り込んだ私に、カズ君はたばこの煙を吐き出していった。 「ママには内緒にしといてやるよ、ほら店に戻ろう」 カズ君が差し出してくれた手を取って、私は考えることをやめた。 いつもより、少しだけ早起きをして、明日は紀ちゃんとドライブに行こう。 夜は、宮原さんとデート。 きっと紀ちゃんは笑顔で送り出してくれる。 間違いない。 私はカズ君と店の中へと戻った。 紀ちゃんが、笑顔でお帰りとシャンパンを手渡してくれた。 紀ちゃんは、私の……。 小さく首を振って、私はシャンパンを飲み干した。 優しくて綺麗で、キラキラした紀ちゃんが目の前で笑っている。 宮原さんと同じ瞳で。
/317ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9818人が本棚に入れています
本棚に追加