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｢里奈さん、チーズ食べる？｣
空いたグラスに再びシャンパンを注いでくれたユウキ君が、チーズをのせたお皿を差し出した。
｢いただきます｣
一粒摘んで口に入れると、紀ちゃんはもう隣にはいなくて、お店のみんなに囲まれて歌を歌っていた。
いつも誰かに囲まれているのに、タイミングよく私のところに現れるのは、昔から変わってない。
｢みんなママに拾われたんだ｣
ユウキ君が、眩しそうに目を細めていった。
｢俺も、カズも、クズみたいな生活してたんだけどね、ママに拾われた｣
ユウキ君は、カウンターに腰掛け続けた。
｢死ぬくらいなら、その命もらってやるって今時ドラマでも聞かない台詞だよな｣
ユウキ君はクスクス笑ったけれど、紀ちゃんが言いそうな台詞だった。
｢いつも俺たち周りの事ばっかり考えてママは幸せなのかなって思ってたから…里奈さんには感謝してるよ｣
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