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「それは…!…それはちょっと…」 思わず大きな声になってしまって、慌てて言葉を濁す。 「あら、なんか困ることある?明日約束とか」 私は大きく息を吸って、6時に約束していることだけを告げた。 宮原さんの名前は出さずに。 少し、考えるような間があって、紀ちゃんはいつもより低い声で言った。 「男?」 私がうなずくと、紀ちゃんはふっと笑った。 「わかった、なるべく間に合うように帰りましょ。遅刻してもまたしときゃいいのよ。それくらいの男じゃないとうちの里奈は預けられないわ」 うちの里奈。 紀ちゃんの言葉に、胸がちくりと痛んだ。 だったらどうして紀ちゃん。 どうして独りぼっちになったとき、私に教えてくれなかったの?
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