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気がつけば、もう出発しなければならない時間になっていた。 物足りなさを感じながらも、紀ちゃんと丁寧に足をふいてから靴をはいて、車に乗り込んだ。 「紀ちゃん、海をリクエストしたのは私だけど、なんで鎌倉だったの?」 「里奈を連れて行きたいところがあったんだけどね、次時間があるときにするわ」 「そっか…ごめんなさい…連れていきたいとこって…?」 「次回までのお楽しみ」 紀ちゃんは静かに笑って車を発進させた。 「さて、お姫様をナイトに届けに行きますか…で、その男ってのはどこの馬の骨なの?」 正直に言っても、きっと紀ちゃんは応援してくれると思いつつ、宮原さんの名前を出すのを躊躇ってしまったのは、彼がお客さんだってことともう一つ、2人がまとうあの空気。 何故か頭から離れない2人の雰囲気のせい。
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