9818人が本棚に入れています
本棚に追加
気がつけば、もう出発しなければならない時間になっていた。
物足りなさを感じながらも、紀ちゃんと丁寧に足をふいてから靴をはいて、車に乗り込んだ。
「紀ちゃん、海をリクエストしたのは私だけど、なんで鎌倉だったの?」
「里奈を連れて行きたいところがあったんだけどね、次時間があるときにするわ」
「そっか…ごめんなさい…連れていきたいとこって…?」
「次回までのお楽しみ」
紀ちゃんは静かに笑って車を発進させた。
「さて、お姫様をナイトに届けに行きますか…で、その男ってのはどこの馬の骨なの?」
正直に言っても、きっと紀ちゃんは応援してくれると思いつつ、宮原さんの名前を出すのを躊躇ってしまったのは、彼がお客さんだってことともう一つ、2人がまとうあの空気。
何故か頭から離れない2人の雰囲気のせい。
最初のコメントを投稿しよう!