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逃げるように、私は車から降りると、地下鉄へ向かって走り出した。
なぜだか分からないけど涙がでそうで。
息苦しいのは走っているから。
そう自分に言い聞かせて。
「…やっちゃったわね」
車に残った紀ちゃんが小さくつぶやいたことも、鎌倉で紀ちゃんが連れて行こうとしていた場所も何にも知らないまま、私はただ走った。
再び頭をよぎること。
紀ちゃんは、私にとって…?
いや、紀ちゃんにとって私って…?
宮原さんに言われたお店に着いたのは約束の時間を1時間も過ぎてしまっていた。
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