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「って言っても、離婚調停の最中でね」 黙ったままの私に、宮原さんは続ける。 「嫁は昔勤めていた会社の上司の娘で、流されるまま27のときに見合い結婚したんだ。 でもその後独立して今の事務所を構えたせいで、その上司から裏切り者扱いされて、彼女も実家と疎遠になってしまってね。」 宮原さんが、手にしていたグラスを口へ運ぶ。 その手が少し、震えているのはきっと、気のせいじゃない。 私はまだ、黙ったまま。 「彼女の孤独も、不安も、わかっていたのに、独立したばかりの忙しさにかまけて彼女を…家庭を顧みなかった。あのとき、俺の一番は家族じゃなかった」 言い切った宮原さんは知らない人のようだった。 私が、返す言葉を探していると、宮原さんはさらに続けた。
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