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「まさにそんなすれ違い生活の中、娘が死んだ」
宮原さんの声も震える。
私の視界も、揺れた。
「もうどうしようもなかった…彼女はノイローゼ気味で、俺は事務所の事で精一杯で…」
辛そうに、でも、伝えようとした表情が昨日の紀ちゃんと重なった。
あぁ。
今、わかった。
紀ちゃんと宮原さんのまとったあの空気。
大事な人を亡くしてしまった、悲しみの色をした瞳。
二人とも、悲しい過去を背負ったままなんだ。
宮原さんは、捕らわれた、ままなんだ。
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