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ほんと泣き虫なんだから。
紀ちゃんはそう言って頭をなでてくれた。
紀ちゃんの香りの中で。
泣いて泣いて
泣き疲れて寝てしまうまで。
別れの悲しさと、自分の愚かさ、宮原さんや紀ちゃんが背負った過去、全部流すかのように泣きじゃくった。
「次の定休日は、ちょっと早いけど一緒に行きましょうね、お墓参り」
うとうとしていた私の頭を撫でながら、紀ちゃんがゆっくりつぶやいた。
夢の中へ落ちていくのを感じながらも、私はその言葉に、頷く。
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