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「紀ちゃん…もし、よかったら紀子ちゃんの話、聞かせて?」
かなり長い間手を合わせていた紀ちゃんが手をおろすのを見計らって、私は静かに聞いてみた。
紀ちゃんは、頷かなかったけれど、そのままゆっくりと口を開いた。
「元々体が弱かった紀子は高校に入ってすぐ…入院続きでね…すごく、お金がかかってたの」
紀子ちゃんが高校に入学した頃、それは私と紀之が出会った頃だった。
アルバイト先の雑貨屋で、私は紀之と出会った。
あの頃の紀之は、とにかく忙しそうだったけれど、いつも優しく笑っていた。
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