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「紀子に怒鳴られたわ。大学なんか行かないから、働かなくて良いって本当に酷く怒られた」
よっぽど怒られたのか、紀ちゃんは思い出したかのように笑った。
「でも、紀子の病気は悪くなる一方でね、結局アタシ、また働くしかなかったの。時給が良いからバーテンの仕事もしたし、そこで知り合った人のおかげで、人には言えないような仕事もしたし、スポンサーだって居た」
スポンサーって言うのは、たぶん、紀ちゃんをお金で買ってる人の事。
私の知らない紀ちゃんが、そこには居た。
それでも、紀ちゃんは変わってないよ。
言いたいのに…言葉が出てこない。
「そんな風に、どんどん変わってくアタシを紀子は、自分のせいだって思うようになってね」
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