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ふぅっと、ため息をついて、紀ちゃんは鞄からタバコを取り出した。 「吸っても良いかしら?」 私が頷くと、紀ちゃんはタバコに火をつけた。 吐き捨てた一口目の紫煙が、空へと上っていく。 紀ちゃんがタバコを吸う姿を見るのは、一緒に生活をし始めて四カ月はたつけど始めてだった。 たぶん、紀ちゃんは今すごく緊張してる。 紀ちゃんの震えるこころが、空気から、伝わってきてるんじゃないかと思うくらい、よくわかる。 もう、充分だよと、言ってあげたいけど、私もふるえて、言葉がでない。 「どうしたら、アタシを救えるか、紀子悩んでたのね…そして紀子は思ってしまったの」
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