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「ユウキはママのことすごく好きなんだ」 カズ君はもうケーキを食べ終え、取り出したタバコに火をつけていた。 そしてカズ君は煙と一緒に、唐突に切り出した。 「昔話は好き?」 カズ君はいつも何をするのも話すのも突然だけど、今日のカズ君は特に突然だった。 てっきり、ケーキの話をするのだと思っていたのに。 今言った、昔話って言うのは、おじいさんやおばあさんが桃を拾う話ではなくて、きっと自分達の過去の話。 ユウキ君とのやりとりのせいで疲れていたけれど、私は頷いた。 今、首を振ったら、たぶんカズ君はもうこの先この話題を口にしないような気がしたから。 まだ日が高い平日のお昼時だと言うのに、周りはとても静かだった。
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