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「あーこの人じゃ仕方ねぇかなわねぇって思ったよ。あん時のママは本当に格好良かった…でも次に会ったときはママになってた」 私の胸が、ちくりと痛んだ。 「ユウキはショックを受けて落ち込んで、俺はそこに付け込んでユウキを口説き落としたんだけど、あいつ何度も死のうとしてさ、思わずママに泣きついたらまぁ鶴の一声」 『捨てるくらいならその命もらってやる』 ユウキ君から聞いた、紀ちゃんの言葉。 紀ちゃんはもう、自分の周りで命が消えてしまうのを見たくなかったんだ。 だから、辛くても笑うしかなかった。 いつだって、自分のことは後回し。 「ママには感謝してるよ、ママがいるからユウキが生きててユウキが生きてるから俺も生きてる」 カズ君は、もう空になったカップを大事そうに両手で包み込んだ。 「でもたまに、嫉妬で頭ん中おかしくなる」
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