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「すげぇ自分がイヤになる…里奈が現れて…俺期待した。これで、やっと安心できるかもしれないって」
カズ君は、まっすぐ、私を見つめた。
そこにいたのは、20歳の不安げな青年。
「すべての鍵は、里奈が持ってるんだ」
突然すぎて、何の話なのか、わからなかった。
「でも、俺たち歪みすぎてて、きっと里奈に歪んだ答えを求めてしまうから…里奈が出した答えが正解…里奈は自分に正直なままでいてよ」
今にもカズ君が泣き出しそうで、私は思わずハンカチを差し出した。
「ごめんカズ君…最後はよくわからないけど…カズ君は歪んでなんかいないよ。好きな人を好きってちゃんと言えるカズ君は、私なんかよりずっと素直で素敵だよ」
カズ君は、一瞬驚いたような顔をして、小さく笑うと、ハンカチを受け取り、盛大に鼻をかんだ。
「俺、つきあえるなら里奈とつきあいたかった」
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