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紀ちゃんの涙を、指で優しく拭ってから、私は再び紀ちゃんの胸の中におさまった。
気持ちよくて懐かしくて、暖かくて、安心する場所。
いつまでも、こうしていたかったけれど、開店時間が迫っていた。
紀ちゃんの頬を優しくなでて、私たちはやっと体をはなした。
急に体温が低くなったみたいで物足りなさを覚える。
紀ちゃんと生きていくって言うのは、きっとこんな感じなんだと思った。
紀ちゃんは黙ったままだったけれど、体をはなした瞬間、少しだけ笑ってくれた。
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