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茶髪の胸まで伸びた髪の毛は綺麗に巻かれていて、派手なメイクはすっきりした顔立ちにとても似合っていた。
隣に座ると、ふんわりと優しい匂いがして、私は思わず尋ねた。
「いい匂いどこの香水?」
第一声は、まるでいつも会っている女友達にかけるような言葉。
それでも、紀之は嬉しそうに笑った。
本当に笑顔が似合う。
「お手製の練り香水」
「え!香水って作れるの?」
他愛もない話で盛り上がった。
違和感なんてまるでなくて、昔からそうだったかのようにとても自然で、紀之の一人称が「アタシ」だったことにむしろ安心してしまったくらいに。
「でもびっくりしたなぁ…紀之がこんな美人になってるなんて」
何気なく、流れで出た言葉だったけれど、言ってしまった後に後悔した。
紀之は、申し訳なさそうに小さくつぶやいた。
「ごめんね」
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