9818人が本棚に入れています
本棚に追加
「いらっしゃいまー…」
言葉が、続かなかった。
宮原さんは、最後に会ったときの優しい笑顔のまま。
でも、瞳の優しさの中に潜めた悲しみの色は、もう消えていた。
カズ君が、思わずよろめいた私の腕をしっかりとつかんでくれた。
「大丈夫」
そう言って顔を上げると、カズ君は私を見てなかった。
その視線の先には、宮原さんと…紀ちゃん。
思わず駆け寄りそうになった私の腕を、カズ君は離してくれない。
支えてくれてるんじゃない。
抑えられているんだ。
カズ君の手の力が、少し強くなった。
最初のコメントを投稿しよう!