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そうだ。 ちょっとクセが強くて近寄りがたいけど、実は香り豊かで、その魅力にハマったら抜け出せなくなるような黄金色に輝くお酒。 それで居て初めての時のインパクト…エレガントで希少価値がある… 「「ポート・エレン!」」 宮原さんと私の声が重なった。 あ。 今の偶然は、反則。 私の鼓動が、早くなるのを、知られないようにわざと明るい声で宮原さんを振り返る。 「やっぱり、そう思いますよね?」 宮原さんの顔が、微かに赤くなっていたのは、お酒を飲んで火照っているせい。 紀ちゃんに向き直ると、優しい笑顔のままだった。 私を、一番、不安にさせる笑顔。 お願いだから紀ちゃん。 離れていかないで。 側にいて。 「みんな!宮原さんからシャンパンが入ったわよ!」 フロアのみんなに紀ちゃんは笑顔で叫んだ。
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