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芋焼酎が好きな紀ちゃんに付き合って、ちょっとだけ無理して飲んでいたのは確か。
「ただ割って飲むより、香りも口当たりも、ずっとマイルドになるから、これなら里奈でも飲めるでしょう」
そう言って、隣に座った紀ちゃんに私は力いっぱい抱きつく。
紀ちゃんが、体をこわばらせたのは一瞬で、ゆっくり、その腕は私の背中へと回った。
まだ、小さく震えるその手が、愛しくて切なくて、苦しかった。
体をはなすと私は紀ちゃんの額に優しくキスをした。
「ありがとう紀ちゃん愛してる」
「アタシも…」
消え入りそうな、紀ちゃんの声。
でもはっきり聞こえた。
アタシも愛してるわ。
紀ちゃんがチョカでいれてくれた芋焼酎は、今まで飲んだ、どんなお酒より美味しかった。
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