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紀ちゃんは、目の前にある黄金色のウィスキーを一気にあおって飲み干した。 紀ちゃんののどに焼け付くように流れ込んだそのお酒の名前が、思い出せないくらい、私は緊張していた。 「里奈が宮原さんの事務所手伝うことになって、ユウキ君も来月にはフランスだし、今回はカズ君もついてくみたいだし……アゲハちゃんがね、お父さんが入院したとかでしばらく実家に帰りたいって言っててねー…みんなこぞって居ないのよ。お店開けとくのも大変だから、この際、思い切ってリフォームしようと思いついた訳」 紀ちゃんのくわえたタバコに火がつけられる。 ふぅっと一瞬顔をしかめて煙を吐き出すと 紀ちゃんはゆっくりタバコを吸った。 「本当に…?」 それだけ? 探るように、何一つ、見落とす者がないように、私は紀ちゃんを真っ直ぐ見つめた。
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