18

9/14
前へ
/317ページ
次へ
走って、走って、当てもなくただひたすら走った。 何から逃げてるのかも、分からないくらい、ただ全力で前だけ見て走った。 どうして、なんで、いつから、こうなってしまったのか。 ただ、愛し合いたいと思っているだけなはずなのに。 出会ったときには、もう、絡まっていたのかもしれない。 絡まった糸を、誰も解けずに。 解くことすら諦めて。 もっと前、紀之が、愛をなくす前、糸が絡まるずっと前、それを知ってる西山さんは…紀之の解き目を知っているのかもしれない。 それも、本当のところは誰にもわからない。 紀之自信すら、きっと答えを持っていない。 二回、転んだところまでは、覚えている。 でも、それから、純ちゃんちのインターフォンを押すまでの記憶は曖昧だった。
/317ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9817人が本棚に入れています
本棚に追加