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「手術の話…ですよね…?」 私の口から、やっと出た言葉は、少しだけ、ふるえていた。 「…適合手術は、私が責任を持ってお供します」 真っ直ぐ、目を見て、彼女は私に言った。 揺らぐことのない、強い意志がそこにはあって、私は羨ましくなった。 私は、受け止めきれなくなった彼女の視線から逃れて、不自然なくらいわざと話題を変えた。 「…西山さんは、紀ちゃんとは高校からの友人なんでしたっけ?」 「正確には、中3からですね…私が紀之の中学に転校して同じクラスだったんですけど特に接点もなく…たぶん初めて話したのも高校に入ってからです」 その頃の紀ちゃんは、どんな風に笑っていたんだろう。
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