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洗面所に綺麗に並べられたシャネルにため息をついて、私はセールで買った化粧水をたっぷり肌に塗り込んだ。 スキンケアに、シャネルライン使い。 乱雑に置かれているボディクリームは確かハリウッド女優御用達の有名な奴だった気がする。 それだけじゃない。 3LDKのうちの1部屋はまるまるクローゼットのように服や宝石、靴で埋まっていた。 一流ブランドのオーダーメイド家具だらけだったが、それでも、決して派手にはならず、紀ちゃんのセンスの良さが反映されたシンプルなリビングは居心地が良かった。 「あら、化粧水わざわざ持ってきてたの?有るの使っちゃって良いのに」 たまたま洗面所に顔をのぞかせた紀ちゃんが、必死に化粧水をたたき込む私の姿を見ていった。 「いきなりシャネルなんて使ったら、10年も安物化粧水使ってる私の肌がびっくりしちゃうわ」 紀ちゃんは可笑しそうに笑った。 すっぴんは、確かに私が知っている紀之だったけれど、そこらの女よりずっと綺麗だった。 「アタシ整形はほとんどしてないのよ、顎を削って額を整えたたくらいかな」 紀ちゃんの作ったお味噌汁にご飯と焼き魚という綺麗な朝食をとりながら、紀ちゃんは事も無げに言った。 顎をガリガリ削られる事を想像して、私は身震いしてしまった。
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