20

4/19
前へ
/317ページ
次へ
あの日、西山さんとわかれて、私は真っ直ぐ紀ちゃんのマンションへ向かった。 「おかえり」 何事もなかったかのように紀ちゃんは笑顔で迎え入れてくれた。 西山さんの言葉が浮かんで消えた。 紀之を理解出来るのはー…。 理解は…きっと私だってできるだろう。 でも、あの時、鎌倉のお墓の前で不安を吐露した紀ちゃんは、現れることはこの先ないだろう。 それじゃ、側にいることは、紀ちゃんの負担になるだけだ。 「旅行に行きたい」 言い出したのは、私。
/317ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9817人が本棚に入れています
本棚に追加