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チェックインを済ませて、部屋にはいると、畳の香りが出迎えてくれる広い和室だった。
「やっぱり畳は落ち着くな」
荷物を下ろした紀之がさっそくごろんと横になる。
「ご飯まで時間あるし、お土産屋とか見に行こうよ」
「うーん…」
あまり乗り気じゃない紀之の声に、私は転がったままの紀之の横に座って、瞳を閉じてしまった紀之を覗き込んだ。
「ごめん、ずっと運転だったもんね、少し寝る?」
覗き込んだ瞬間、パチリと、目を開けた紀之と目があった。
目をそらせずに見つめ合ったままの沈黙の後、紀之の手が、恐る恐る私の頬に触れた。
「大丈夫。行こう」
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