20

6/19
前へ
/317ページ
次へ
チェックインを済ませて、部屋にはいると、畳の香りが出迎えてくれる広い和室だった。 「やっぱり畳は落ち着くな」 荷物を下ろした紀之がさっそくごろんと横になる。 「ご飯まで時間あるし、お土産屋とか見に行こうよ」 「うーん…」 あまり乗り気じゃない紀之の声に、私は転がったままの紀之の横に座って、瞳を閉じてしまった紀之を覗き込んだ。 「ごめん、ずっと運転だったもんね、少し寝る?」 覗き込んだ瞬間、パチリと、目を開けた紀之と目があった。 目をそらせずに見つめ合ったままの沈黙の後、紀之の手が、恐る恐る私の頬に触れた。 「大丈夫。行こう」
/317ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9817人が本棚に入れています
本棚に追加